波乱の幕開け

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なんだかその日は、圭也さんが帰ってくるまで、眠れなかった。 『夕食は、先に食べてていいよ。』 そう電話があって、ご飯は一人で食べた。 時間はもう夜の10時。 今日、圭也さん帰ってくるかな。 そして、テーブルの上でウトウトと、眠ってしまった時だ。 「紗良。こんなところで寝ていると、風邪ひくよ。」 薄目を開けて見ると、圭也さんが立っていた。 「あはは。圭也さんだ。」 「へ。どうしたの?寝ぼけてんの?」 早速スーツを脱いで、シャワーを浴びようとしている圭也さんに、夕食の事も聞けない。 そんな圭也さんを、ぼーっと見ている。 「紗良。結婚生活、こんなはずじゃなかったって。思ってるでしょ。」 「うーん……」 まだ寝ぼけてるのか?って顔を、圭也さんはしている。 「本当は、こんな俺が結婚なんて、無理なんじゃないかって思ってた。」 「うん。そうだね。」 そう言って、にへらと笑った。 「でも、警察官の娘の紗良なら、分かってくれると思って。」 私は、返事をしなくて寝た振りをした。 「なんだ。結局、寝てるのか。」 圭也さんは、私を抱きかかえて、上の寝室まで運んでくれた。 「紗良だから、結婚したんだよ。」 そんな言葉が、私には切なかった。
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