波乱の幕開け

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昨夜は、よく眠れなかった。 最近の圭也さんの言動や、隣の家の奥さんに言われた事が、頭から離れない。 結婚って、こんなに悩むものだった? 旦那さんの帰りが遅い人は、一体どんな気持ちで待っているんだろう。 今日、旦那さんは無事で帰ってくるか。 毎日、そんな風に思わなければいけないなんて。 そして、私をそれ程追い込むには、もう一つ理由があった。 私は、子供を早く作る為に、仕事を辞めてしまったのだ。 日中、家事を済ませてしまえば、あとは自由な時間が待っている。 それが、私の中に悩みを産ませる時間でもあった。 「わわわ!焦げてる!」 「えっ!」 手元のフライパンを見ると、目玉焼きが焦げていた。 「考え事してたの?」 「ううん。ぼーっとしていただけ。」 圭也さんは、心配そうに顔を覗くけれど、無表情の顔なんて見ては、何も分からないだろう。 「その目玉焼き、食べるよ。」 圭也さんは、スルッとフライパンから目玉焼きを、お皿に乗せた。 「いいの?」 「まだ食べられる場所あるからね。」
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