幸せとは

5/10
前へ
/80ページ
次へ
「今日、あいつらに夕食を作っている紗良を見て、結婚してよかったと思ったよ。」 「それは、どうも。」 言ってる意味は分かる。 部下にご馳走もできない妻なんて、結婚しなきゃよかったって、思うもんね。 「紗良、愛おしいよ。」 圭也さんは、私の頬を自分に向かせると、キスしてくれた。 私も久しぶりのシチュエーションに、圭也さんに捕まる。 そのまま、二人でリビングに行って、ソファーに倒れ込んだ。 「いい?このまま抱いて。」 「待って、ベッドに行ってから……」 「待てないから。」 そう言うと、圭也さんは私の服を脱がし始めた。 欲情を抱いた表情。 佐藤さんの好意も、ただのファンだと言っている圭也さんは。 恐らく、私にしかそんな顔は見せないだろう。 「紗良、紗良……」 耳元で繰り返される甘い声。 「愛しているのは、紗良だけだよ。」 そんな言葉に、酔いしれる夜だった。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加