幸せとは

10/10
前へ
/80ページ
次へ
「まずは、妊娠おめでとう。」 「ありがとうございます。」 この日は、圭也さんのお休みで、一緒にお母さんを出迎えた。 「はい、これ。ベビー服に、おむつに、沐浴セット。」 「そんなに買って来たのか?早いんじゃない?」 圭也さんはそう言いながら、お母さんからのプレゼントを開けた。 すると、中身は全部青色ばかりだ。 「他の色はないの?」 「ないわよ。どうせ、男の子でしょ。」 私と圭也さんは、顔を見合わせた。 「まだ、男の子だって、決まったわけじゃないよ。」 「いいえ、男の子です!」 お母さんは、そう言い張った。 「もし、女の子だったら?」 「気合で、男の子にするのよ。」 「はあ?」 圭也さんは、呆れていた。 「私の時だって、お姑さんにそう言われたんだから。気合を入れて男の子!って願ったら、圭也が産まれたのよ。」 静かにお茶を飲むお母さんに、私は半分顔が引きつっていた。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加