新たな生活

4/10
前へ
/80ページ
次へ
「あのー……」 「分かってる。結婚する前に告白しなかったのは、俺が悪いんだ。」 優は思い詰めた顔をしている。 「ええーっと……気持ちは嬉しいよ。」 「本当に⁉」 優は、私の肩を掴んだ。 見降ろす瞳は、真剣だ。 「でも、私今は圭也さんしか、見えてないから。」 すると、優は肩から手を、ゆっくり下ろす。 「もう、時効って事か。」 「って言うか、優の事。従兄弟以上に思えないよ。」 ここははっきりと、優の気持ちを断った方がいい。 私は、不倫する気もない。 「分かった。」 優はうんと真っすぐに頷いた。 「ごめんな、驚かせて。」 「ううん。」 いや、本気で驚いたけれど、それは優のせいじゃない。 「じゃあ、俺行くから。」 「えっ?スーパーは?」 「後で、一人で行く。」 優は後ろを向くと、腕を上げてバイバイをしていた。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加