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 夏休みが終わり、大学が始まった。ペットボトルのお茶でも買おうと大学内のコンビニに入った。 「牧江くん、おはよう」美姫が声をかけてきた。 「美姫か?! ずいぶん痩せたんだね……。ダイエットなんか必要ないのに……」 「ううん。ダイエットしたわけじゃないんだ。喉が渇いて、いくらでも水が飲めるの。それでお腹がいっぱいになっちゃうから、ご飯があまり食べられないの」美姫は笑って、手に持った天然水のペットボトルを振ってみせた。 「水って言えば、慧君、水中毒で入院したんだって」と話しかけてきた朱莉も痩せている。 「十リットルくらい一気に水を飲んじゃったらしいよ。じゃあ、私たち次の授業は別の教室だから。またね」と去って行くふたりの後ろ姿を見送る。 「あっ!」  思わず叫んでしまって、自分の口を手で押さえた。サンダルを履いた美姫の白い足首に、黒い痣が浮かんでいたのだ。まるで誰かがギュッと握ったような……。
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