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雨上がり
「ママ! ほら! 見て! 虹」
娘が、雨が止んだ空を指差しながら、「虹」と大きな声で叫びながら、虹の方向に走っていく。
「こら! 待ちなさい」
私は、急に走り出した娘を慌てて追い掛ける。
そして、後ろから娘を捕まえ、
「ダメでしょ! 急に走り出したら! 車に引かれたらどうするの?」
「ごめんなさい」
「解ってくれたらならいい。それに、傘ちゃんを置いてけぼりしたら駄目でしょ? 傘ちゃん泣いてたよ」
娘が路上に放り投げて行った水玉の模様を傘を娘に渡す。
「傘ちゃんごめんなさい」
傘に「ごめんなさい」と謝る娘の姿に、学生時代に、傘を忘れて困っていた自分に貸してくれた男の子の姿が重ねた。
その子とは、同じクラスだったけど、殆んど、いやぁ?
もしかしたら、その時が初めてだったかもしれない。
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