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「お前、もしかして、傘忘れてたのか?」
「えっ? あぁうん」
いきなりの声掛けに驚きながらも、「うん」と小さく返事を返す。
すると、その子は、いきなり、自分が使っていた紺色の傘を私に差し出してきた。
「この傘、使えよ」
「大丈夫。親に迎えにきてもらうし。それに、○○君も今から帰るところなんでしょ?」
私は、その子が差し出してきた傘を元に戻す。
「別に? この程度の雨なら、あと10分すれば上がるだろうし。それに、な折りたた傘持ってるし」
カバンの中から、黒い折りたたみ傘を取り出し、まるでなにごともなかったかのように、傘を開くとその場から離れて行った。
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