103人が本棚に入れています
本棚に追加
「理衣、おはよ〜。」
ドアをドンドンしたらすぐに開いて、出てきたのは今日も”めい姉“だった。
「めめね、かみ・・・っかみむすんでぇ・・・っ」
「・・・・・・昨日も練習したんだけど、ごめんね。」
”めい姉“が泣いている”りい“のことを抱っこしてくれ、靴まで脱がしてくれ、家の中に入れてくれた。
「理衣ちゃん、おはよう!
あら〜、今日も朝からエンエンしちゃったのね〜。」
”めい姉“が”じゅん“のお母さんである”みっちゃん“に”りい“のことを向けたから、今日も”みっちゃん“に両手を伸ばすと”みっちゃん“は私のことを優しく抱き上げてくれた。
「女の子は年長さんでも柔らかくて軽くて、良い匂〜い。」
そう言って、私のことをギュ〜ッと抱き締めてくれる。
「み、ちゃ・・・・、かみ、むすんでぇ。」
「・・・・・・ねぇ〜、本当にね〜。
もうねぇ、本当にそうなのよぉ〜。
パパがいればねぇ、うちのパパは器用のよぉ〜。
お仕事で運動会が終わる頃にやっと到着するみたいだから、そしたらうちのパパに可愛く結んで貰おうね〜。」
「それらあ・・・お、お・・・おいのぉ。」
「ん?なんだろう、もう1回教えて?」
「”それじゃあ遅いの“、だろ!!」
まだパジャマを着ている”じゅん“が眠そうな顔で起きてきて、”りい“が言いたかったことを代わりに言ってくれた。
「しゃし・・・ん、おかさ・・・みうから・・・。」
「ああ、写真ね!そうだよね〜!!」
「髪の毛くらいでピーピー泣いてるんじゃねーよ。」
「ううあい・・・・っっ!!!」
「”ううあい“!!!」
「まねうんな・・・・!!!!」
「”まねうんな“!!!」
パジャマのままリビングのテーブルにあったオニギリを食べながら、”じゅん“が”りい“の真似をしてくる。
気付いた時には上手に話すことが出来なくなっていた”りい“の声。
それを今日もこんな風にバカにしてきて、”りい“は今日も”じゅん“と喧嘩をする為に”みっちゃん“の腕の中から降りて”じゅん“の隣に座って喧嘩をしていく。
途中で荷物を抱えたお父さんも来て、”みっちゃん“と”めい姉“に沢山お礼を言っていたけれど、お父さんのことは無視をした。
”ごめんなさい“
それをどうしてもお父さんに言えないことか凄く苦しくて、お父さんのことを見られなかった。
どうしても”ごめんなさい“が出来ない。
”ごめんなさい“と思うけど、やっぱり”お父さんのせい“とも思うから。
お母さんが病気になったのは”お父さんも悪い“と思ってしまうから。
最初のコメントを投稿しよう!