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「理衣、おはよ〜。」 ドアをドンドンしたらすぐに開いて、出てきたのは今日も”めい姉“だった。 「めめね、かみ・・・っかみむすんでぇ・・・っ」 「・・・・・・昨日も練習したんだけど、ごめんね。」 ”めい姉“が泣いている”りい“のことを抱っこしてくれ、靴まで脱がしてくれ、家の中に入れてくれた。 「理衣ちゃん、おはよう! あら〜、今日も朝からエンエンしちゃったのね〜。」 ”めい姉“が”じゅん“のお母さんである”みっちゃん“に”りい“のことを向けたから、今日も”みっちゃん“に両手を伸ばすと”みっちゃん“は私のことを優しく抱き上げてくれた。 「女の子は年長さんでも柔らかくて軽くて、良い匂〜い。」 そう言って、私のことをギュ〜ッと抱き締めてくれる。 「み、ちゃ・・・・、かみ、むすんでぇ。」 「・・・・・・ねぇ〜、本当にね〜。 もうねぇ、本当にそうなのよぉ〜。 パパがいればねぇ、うちのパパは器用のよぉ〜。 お仕事で運動会が終わる頃にやっと到着するみたいだから、そしたらうちのパパに可愛く結んで貰おうね〜。」 「それらあ・・・お、お・・・おいのぉ。」 「ん?なんだろう、もう1回教えて?」 「”それじゃあ遅いの“、だろ!!」 まだパジャマを着ている”じゅん“が眠そうな顔で起きてきて、”りい“が言いたかったことを代わりに言ってくれた。 「しゃし・・・ん、おかさ・・・みうから・・・。」 「ああ、写真ね!そうだよね〜!!」 「髪の毛くらいでピーピー泣いてるんじゃねーよ。」 「ううあい・・・・っっ!!!」 「”ううあい“!!!」 「まねうんな・・・・!!!!」 「”まねうんな“!!!」 パジャマのままリビングのテーブルにあったオニギリを食べながら、”じゅん“が”りい“の真似をしてくる。 気付いた時には上手に話すことが出来なくなっていた”りい“の声。 それを今日もこんな風にバカにしてきて、”りい“は今日も”じゅん“と喧嘩をする為に”みっちゃん“の腕の中から降りて”じゅん“の隣に座って喧嘩をしていく。 途中で荷物を抱えたお父さんも来て、”みっちゃん“と”めい姉“に沢山お礼を言っていたけれど、お父さんのことは無視をした。 ”ごめんなさい“ それをどうしてもお父さんに言えないことか凄く苦しくて、お父さんのことを見られなかった。 どうしても”ごめんなさい“が出来ない。 ”ごめんなさい“と思うけど、やっぱり”お父さんのせい“とも思うから。 お母さんが病気になったのは”お父さんも悪い“と思ってしまうから。
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