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高校、入学式の朝
「ソっちゃん、私まだ病気が治らないの〜!」
とっくの昔にお母さんは退院したけれど、今日もそう言ってソっちゃんの傍にいる。
男とか女とか王子様とかそんなのは関係なくて、私はソっちゃんのことが大好きだから。
ソっちゃん以上に好きになれる人なんて、きっとこの世界にはいないはずだから。
「お前の病気、どうせ”恋の病“だろ!!!」
”田代“がその通りのことを今日も言って、ソっちゃんのことを笑わせている。
「間中、男バスのマネージャーやれよ。
俺高校でもバスケやるから。
お前は高校じゃバスケやらないんだろ?」
高校の門が見えた時に田代からそう言われ、私は首を横に振った。
「やだ〜!!
ソっちゃん帰宅部にするって言うから、私も帰宅部〜!!!」
大雪が降った翌朝、見事に真っ白になった世界で3人で校門に向かって歩いていく。
3人で一緒に歩いていく。
この道がずっと続けば良いのにと、今日も思いながら。
こんな毎日が永遠に続けば良いのにと、今日も思いながら。
どんなに雪が積もっていたとしても、3人で一緒に歩けばこんなにも楽しく歩けると思いながら。
今日もしっかりと前を向いて、歩いた。
あの日、私はソっちゃんに立たせて貰ったから歩ける。
どんな道でも歩ける。
どんなに苦しくても痛くても歩ける。
悲しいゴールが待っていると分かっていても、ちゃんとゴールが出来る。
「だから、もう少し・・・。」
もう少しだけ私と一緒に走って、ソっちゃん・・・。
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