寝台列車「北斗星」の悲劇

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寝台列車「北斗星」の悲劇

  85eb82d2-956a-4606-8e0a-65de1b49f4d9  僕は白い息を吐きながら目当ての家を探していた。以前知り合ったときに住所を教えてもらっている。閑静な住宅街の表札を注意深く見ながら歩く。  ほどなくして、目当ての家を見つけた。表札には「大島」と書かれている。インターフォンを押すと少し間をおいて応答があった。 「おお、諫早殿。久しぶりじゃのう」  懐かしい声が聞こえてくる。 「ご無沙汰しています。喜八郎さんにお話を伺いたくて来ました。アポなしですみません」 「旧知の仲じゃ、気にするでない。今、鍵を開ける。少々待たれよ」  ガチャリと音が聞こえ、目の前の扉が開かれる。小柄で杖をついた老人が現れた。喜八郎さんだ。 「さあ、中に入るのじゃ。最近は寒くてかなわん」  喜八郎さんは体を震わせながら言う。
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