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「今日、部活出る?」
「あ、はい‼︎出ます」
「そっか。じゃ、また部活でね」
「あ、はい‼︎」
一度背を向けた悠里先輩が、不意に振り返る。
「…これ、あげる」
そう言って、私に手を伸ばした。
「え?」
両手で作ったお皿の上に、コロンとキャンディー型の包みが2つ転がった。
「俺の非常食、特別に分けてあげる」
優しく笑って、さわやかに去って行く。
「谷原?早く取れよ」
「…いい。いらない」
アーモンドチョコレートの箱をスライドさせて突き出してくる田中に短く返事をして、教室に向かって歩き出す。
お皿にしたままの手の中には金色の包み紙のリンツのチョコレートが2つ。
…非常食がオシャレすぎる‼︎
バレンタインの日にまさか悠里先輩からチョコレートを貰うなんて…
信じられない。嬉しい…なんて思っちゃいけないんだけれど。
ごめん、日向。
私だけの秘密にしても…良いかな?
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