About Christmas.

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About Christmas.

 巡るその年のクリスマスイブ。コンビニオーナーの西条羅々の家で、俺と羅々と美輪子で、何かのうさを晴らす様にはしゃぎ合った。  家庭通信カラオケは、俺立浪四十万と加古美輪子がべらぼうに上手い方で、キャラクターボイスの西条羅々は幹事役を全として、歌ってーと、只管デュエット曲を入れられる。  流石に英語曲はだったが、美輪子が俺のパートも歌い、いい具合にユニゾンし、羅々がきゃーと歓喜の声を上げる。曰く仕上がってるじゃない。羅々が言うか。  そして、恒例のツイスターゲーム。これは何だかなだ。それは女子二人も密着されると、照れ臭いが、その並々ならぬフィジカルで、女子二人からいつの間に絞め技に入る。俺いつか死ぬぞ。そう亮司は、いや、喉の奥底で止めた。  あとは大盛り上がりの、ビンゴ大会。昔はいつもの4人、今は3人だ。コンビニオーナーの西条家主催のバーター景品で、いつもホクホク顔で帰る事になる。  各人のヒットは、俺は型式の落ちた音楽プレーヤー本体。美輪子は折り畳みテントセット。羅々は子供用トランペット。お土産は持参するも、参加費無料で本当恐縮しかない。とは言え、景品を貰う為に、俺も美輪子も大きなバックパックを持参するのは、ここは既定路線。  さあ帰ろうか。亮司…は、いる筈もない。つい毎年の楽しいクリスマスパーティーなのに、亮司の事は、ここに来る迄消し飛んでいた。  西条家主催のクリスマスパーティーは、無事21時に解散となる。さあさあと、羅々にわちゃわちゃされて、俺は美輪子に腕を組まされ、家迄送る事になった。  俺はどちらかと言うと、羅々の僕なのだが、亮司が逮捕されると、美輪子が俺に寄り添うになった。 「羅々、何かさ、これ違うと思うんだけど」 「是非なし。私も最近だけど、恋人できたし、四十万が近くにいると嫉妬されるのよ」 「そう言う事ね。四十万、逃げないで送ってね」  腕を組んだ美輪子がグッと引き、話しを合わせてのバイブスを送られる。俺は心に非ずの、羅々の恋人も大変だな、あはは。その場の3人が乾いた談笑になった。美輪子に触れろは、どうしても面倒臭い。  美輪子に気を使えは。ありのまま言えば良いのだが、美輪子が亮司をどんな気持ちで捕縛したか、まだ月日も浅いので、俺達だからこそ、心のバランスが崩れかねない。まだ青少年なんだよ、俺達は。  ◇  そして帰路、雨が降って来た。戻って羅々に傘と思ったが、美輪子にグッと引き止められ、雨宿りして行こうになった。どこなんだよ。着いて来て。向かった先は、漁港に隣接した、美輪子の家業の加古水産第三作業場だ。  美輪子は入り口の電子キー4桁を押し、中へと引きづり込み、照明スイッチを押しながら、奥その奥へと突き進む。そして控え室の畳の間に、俺を放り込む。何だも、俺達はこの日が来るのを知っていた。  羅々は折々で、私と美輪子は処女じゃないから残念と、大人の視線をする。  美輪子は柔和な顔を見せ、俺に優しく口付けをする。初めてが美輪子か。その感慨も、美輪子が舌を潜り込ませて暴れる。いやそうじゃないと思いながらも、スルッと美輪子に上半身を脱がされ、デニムもブリーフ脱がされ、ペニスを咥えられた。自慰と比較するしかないが、かなり気持ち良い。そして太腿が強張ると、そのまま美輪子の口内に射精した。一回分損したねと、俺の不手際を咎めない。  そして、自らのポーチからスキンを開封すると俺に被せる。童貞の俺はどうしたら良いかの顔をしたので、俺は寝かせられ、美輪子が上になって、炸裂しそうなペニスをカントで包み込んだ。美輪子は俺の顔色を見ながら優しく動くが、9往復目で果てた。  俺は余りの気恥ずかしさで、美輪子を労えない。ありがとうを言おうものなら、次は下手でごめん。それは違うな、そこに美輪子を襲った亮司のあらましが蘇る。  この先、美輪子を好きになったら、より亮司の熱りたった顔を思い出すだろう。今日だけ。明日からは忘れようにした。  不意に作業場のとたん屋根を打ち付ける雨の音が止んだ。 「美輪子、雨が上がったのかな。今なら帰れるか」 「ふーん」美輪子が窓ガラスに飛びつく「それはないかな」 「どうして、」俺も窓ガラスに張り付く。外は滅多にない七五三町に雪が舞っていた。 「帰っても良いけど、私達の一生の思い出、一つ消えるよ」 「美輪子、亮司の事忘れられると思う」 「愛のあるSEXって、そういうの帳消しにするのだけど。朝になるとちょっと分かると思うよ。それ、私から言うね」  俺達は、雪のせいか急激に冷え込む中、自然と抱き合い、二人の体温を循環させる。明日の朝、美輪子はどんな顔して、俺に好きを言うんだろう。堪らず笑うと、察した美輪子に柔くタコ殴りされる。  そして、美輪子にグッと足払いされると、再び畳に倒れ込んだ。 「痛いな、まだするとか、」 「そうよ。私のスキンは後1枚。だけどね」美輪子が俺の衣服に近づきパスケースを持ち上げる。そして、ふふんと言いながら、えっとポケットからスキン2枚引き出す。 「待てよ、俺そんなの知らないよ」 「そうでもないのよ、牧子さんが、こそっと教えてくれたの、パスケースに2枚入ってるから、焦らないでねってね。立浪家は、母は強し、父は確たる、四十万は平々凡々。嫌いではないわ」 「それ、好きで良いだろう」 「だから、それは明日の朝に取っておきましょう」  美輪子が全裸で立ち上がり、控え室の照明を、二つ残して薄暗がりにする。共に思春期で、剥き出しの裸のそれは恥ずかしいし、いや俺に心配りし過ぎてだろう。  俺は、畳の上で毛布を開き持ち上げると、美輪子キャッキャっと燥ぎ、滑り込んで来た。 「うう、やっぱり寒いよ」 「だったら着ようよ」 「それってどうなの。濡れた衣類にくるまっていたら、風邪引いちゃうよ。私、ドラマでよく知ってるよ」 「それも、そうだな」  何を甘い会話になってるやら。降りたてで、衣類はそこ迄濡れそぼっていない。  受け入れざる得ないのは、美輪子が熱く、何故か今日だけフローラルの香りで、その香りを離したくはなかった。愛おしい。何か寝言で言いそうだから、何か嫌だな。  俺が不機嫌そうな顔をしたから、美輪子が俺の高い鼻をギュウギュウ絞る。やめろって、不意に見つめ合うと、唇がごく自然に重なった。  そして、あの日から残影に残ってる、美輪子の逞しく淡い乳房がここにある。どんな味がするのだろうか、俺は逡巡しながら、美輪子の乳房をそっと触れて、乳頭を含んだ。あん。美輪子の小さい嗚咽が漏れ、身体が跳ねた。 「痛いかな、」 「四十万、そうじゃ無いでしょう」 「下手なのかな」 「そう言うことを言わないの」  俺は美輪子の乳房を吸い続け、美輪子に頭を丁寧に撫でられる。俺の緊張感が少しづつ薄れてきた。  SEX、遠い未来の出来事だと思っていたが、美輪子に直接感謝が出来るのは幸いだ。果たして、明日の朝まで、どれだけ愛し合えるのだろうか。
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