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「嘘、どうしてこんな色なの……?」
ミチが僕の手を一層強く握りしめた。
彼女の声には震えがあり、その瞳は恐怖で大きく見開かれていた。
空は未だに漆黒に染まったままだ。
「分からない……。でも、何か意味があるはずだ」
僕は必死で冷静を保とうとしながらも、混乱していた。
この花火はただ事ではない。
何か大きな秘密が隠されているように感じた。
「ここは危ない!」と墓地から逃げ出す者もいるし、
父と僕に詰め寄る村人もいた。
原因など知らない。
だけど、祖父が故郷をすてたことに関係があるのだろう。
だったら、こんな風習に縛られなければ良いのに。
花火葬なんて、しなければ良かったのに。
父ですら、祖父の過去を知らない。
寧ろ、火薬を調合し、同級生であった羽賀さんの方が知っているのではないか。
僕は打上場に向かって全力で走った。
ミチは僕の後を追い、父は立ち尽くしたままだった。
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