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「祖父は、妹さんが亡くなったことを知らないままなんですよね?」
羽賀さんは「おそらく」と言った。
僕の隣ではミチがお祈りをするように合掌し、何度も頷いている。
「もう一度上げてください」
祖父の花火はまだ一発しか上がっていない。
「何度上げても一緒だ」
「花火葬は、想いが反映されるんですよね?
それなら、祖父は今、真実を知ったんです、変わるはずです」
花火師は僕に根負けし、残りの花火を打ち上げることにした。
頼むよ、じいちゃん。届いててくれよ。
花火が打ち上がる音が聞こえた。
祖父の花火は、相変わらず、漆黒だった。
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