02.ミチ

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羽賀さんが火薬と調合するために父から遺灰を受け取る間、僕はミチに都会暮らしのことをあれこれ聞かれた。 「いいなぁ、ここにはないものがたくさんあるんでしょ?」 ミチは目を輝かせながら僕に尋ねる。 彼女の興味は真剣そのもので、その純粋な好奇心がとても新鮮だった。 今時、SNSやテレビでいくらでも情報は入ってくる。 もしかして、ここにはネット環境がないのかと不安になった。 スマホは圏外ではなかった。4Gだったけど。 「そういえば、まだ名前を聞いてない」 「あ、黒田大樹。大きな樹木でたいじゅ」 「もしかして、お祖父ちゃんが付けた?」 「うん。何で分かったの?」 ミチは悪戯っぽい笑顔で、指さした。 その先には、一本の大樹がそびえ立っていた。 「村唯一の天然記念物。銀杏岡(いちょうがおか)の銀杏の木!」 「あぁ、あれが……」 「見に行かない?」 「うん」 「父さん、ちょっと銀杏の木見てくる」 僕は父に声をかけて、ミチと銀杏の木へ向かった。
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