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 ほんの少し前まで険悪な状態だった美波と潮の間で、なにがどう、まとまったというのでしょうか。 「うん! じゃあ、これで良し! ってことで!」 「!?」  これ以上はダメと、大洋の頬を突っぱねていた私の手を取り、大洋は再び私に口づけました。今度は唇をこじ開け、舌をねじ入れてきます。 「んっ、う……!」 「みさきの舌、歯も、小さくて可愛い……」  私の口内をぞろりと大きな舌で舐め回し、大洋は私の唾液を啜りました。そして代わりとでもいうように自らの唾液を注ぎ、私の喉がごくりと動いてそれを飲む干すのを認めると、満足そうに舌を去らせます。 「好きだよ、みさき。大好き……」  犬のようにペロペロと、大洋は私の唇を舐めました。 「やっ、大洋! くすぐった……い!」  やめさせたいのに、私の両手首は大洋に持たれたままです。  胸に、誰かが手を置きました。背後から伸びてきた筋張ったそれは、潮のものでしょう。 「おまえ、すごくいい匂いがする……」 「やっ……!」  日焼けした大きな手で、潮は私の胸を円を描くように揉みしだき、その中心をつまみ上げました。 「あっ……!」  すっかり勃った乳首を刺激されて、全身に電流が走ります。 「服、着てても分かるぞ。こんなに硬くして……。いやらしい女だな」  カリカリと服の布地の上から胸の頂きを引っかく、潮の声には、興奮の色が滲んでいました。首筋をちゅうっと吸われて、私の腰は震えてしまいます。 「ダメ、だよ……、もう……!」  声を絞り出して、懇願します。  こんなことをされるのが嫌なんじゃなくて、こんなことをした結果、友達に戻れなくなるのが嫌だったんです。 「みさき、ごめんね。僕たち、もう無理なんだ。我慢できない……。ずっと君のことが好きで、だから……」 「ごめん」と、美波はもう一度繰り返しました。 「僕たち、これ以上、友達のフリはできない。でも絶対に、君を傷つけるようなことはしないから」 「ん、みさき……。キス気持ちいい……」 「おまえ、柔らかい……。こんな風に、ずっとずっとさわりたかった……」  大洋に絶え間なく唇を奪われて、潮に胸を弄ばれて。美波はそんな私の太ももに触れました。ぴたりと閉じていたそこを優しくこすられ、こそばゆくて思わず開いてしまった隙間を見逃さず、美波の指は上へ上へと昇ってきます。 「あっ、ああ……っ! やあっ……!」  遂に一番いやらしくて敏感な場所に、美波の指先が到達する。下着の上から縦の溝をなぞられ、私は体をくねらせました。 「ふふ、ぐっしょり湿ってる……」 「あ、汗、だもん……」 「そう。じゃあ、拭いてあげないとね」  美波と、大洋、潮は、私を挟んで目配せし合いました。こういうときだけ察し合い、団結するのは、やっぱり彼らが昔、野球部のチームメイトだったからなのでしょうか……。  三人は、私を持ち上げました。肩から上を潮が、ウエストの辺りを美波が、足を大洋が担当し、私をすぐ近くのソファにわっせわっせと運びます。 「わーっ!? ちょ、ちょっと!」  私を座らせると、美波は素早く背もたれを倒し、ソファを(たいら)にしました。  潮は私のカットソーを捲り上げて、頭から引き抜きます。  大洋は私が履いていたジーンズと下着を、一息にズリ下ろしてしまいました。  なんなんですか、このトリプルプレイは。腹立つ! 「や、やめてよ……!」  ブラ一枚という情けない格好になってしまった体を抱き締め、私は弱々しく彼らに訴えました。 「みさき……」 「可愛い……」 「好きだ……」  息を荒げながら、三人は私の周りを取り囲んでいます。  まさに絶体絶命です。  怖いような、だけどそれだけではなくて――。  だいたい、ついさっきまで友達だった相手に、この仕打ちはひどくありませんか?  デリカシーもムードもなくて……。段々怒りが湧いてきた。  頭に血が上り、気づけば私は説教をするかのように叫んでいました。 「なんで私だけ裸なの!? みんなも脱いでよ! あと、これじゃソファが汚れちゃうよ! なんか敷くものもってきて!」 「えっ……」  私の語気の荒さに引いた三人は、でもすぐに破顔し、水を得た魚のように動き出します。 「そうだよね! みさきにだけ恥ずかしい想いをさせて、ごめんな!」  真っ先に服を脱ぎ出したのは、大洋でした。  次に潮が、着ていたTシャツの裾を捲りながら怒鳴ります。 「おい、美波! タオル! バスタオルだ!」 「了解!」  美波はさっと奥の部屋へ向かって走り出しました。  ……………………………。  だって、ほら、美波のおうちのソファは、本革製だし、いかにも高価そうだし、だから汚しちゃったら申し訳ないし……。  ――そういう問題じゃないですよね。はい。  きっと私が泣いたり、本気で嫌がれば、三人はあれ以上のことは決してしないと、分かっていたんです。だから、突っぱねることも十分できた。  ――でも私は、期待してしまっている。  大洋の言うとおり、三人まとめてつき合えば、「誰かを傷つけてしまう」という恐れはなくなるでしょう。それもあるけど、それ以上に――。  はっきり言って、私はスキモノなのでしょう。女の子としては、かなり恥ずかしい性癖だけど。  だけど、大好きな彼らに身も心も愛されて、いやらしくドロドロに溶けてしまいたい。  その誘惑に、抗えなかったのです。
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