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『うーん、困ったな』
目の前の超豪華などでかい門を見上げる
わーほんと無駄に豪華。こんなに凝った門を作るくらいならもう少し人件費に割いて出迎えの人でも寄越してくれればいいのに。
とっくに約束の時間は過ぎたなとスマホで時間を見る
はぁ、正直俺はどうでもいいけどこれを知ったら親父ぜったいぶちギレるだろ。あの理事長大丈夫か?
めんどくせぇことになんないといいが…
「すみません!遅れました!転校生の方ですよね?」
脳内でぶつくさ言ってる間に迎えの人が来たようだ。
『あー、はい。今日から転校してきました水瀬 和樹です』
門の間から見える相手にヘラりと笑いかけると、少しの間こちらを見たまま硬直した後ハッとしたように門を開けてくれた
「こちら側の不手際でお待たせしてしまい大変申し訳ございませんでした。私は生徒会副会長を務めさせていただいている2年の北澤 零と申します。」
『いえー俺は大丈夫なんでお気になさらず…で、迎えに来てくれたってことは案内してくれるってことですか?』
うわ、この副会長さんめちゃくちゃ丁寧じゃん
あんまり下手に出てこられちゃっても気まずいので適当に話題を流しておく
「あ、はい!職員室まで案内させていただきます。…理事長から既にこの学園のことはある程度伝えているとの事だったのですが、何か説明不足な点や聞きたいことはありますか?」
『んー…今の所とくに無いですかね。ありがとうございます、わかんない所があったらその場で聞かせてもらいますね』
「分かりました、遠慮なく聞いてくださいね。…申し訳ないのですが、少し時間が押しているので早速職員室に向かいましょうか」
副会長さんに軽く雑談を振りながら歩き出す
理事長さんから聞いた話では、この学園は全寮制の男子校な為同性同士の恋愛が活発で、成績や容姿などが優れた人達が役職付きになり、この学園を率いているらしい。
正直、容姿も評価基準に入ってるのはよく分からない学校だなとは思うけど、まぁなるようになるでしょ。
副会長さんと意外と打ち解けてきたところで職員室の前に着いた。
「着きました、ここが職員室です。和樹さんのクラスは1-Sですので担任を呼びますね。
"コンコン" 北澤です。鳴海先生、転校生を連れてきました。」
「おー来たか」
職員室の中からひょいっと出てきたのはいかにもホストのような格好の人だった。その格好で教卓に立って良いのか、私立は凄いな。
出てきたホストの様な先生は俺を見ると固まってしまったのでそれに気付かないふりをして自己紹介をする。
『初めましてー、今日から転校してきました水瀬 和樹です。担任の先生なんですよね?よろしくお願いします。』
担任の目を見てにこっと笑っておく。
初対面の印象は大事だからなー、しかも担任ってなると関わることも多そうだし。
俺の言葉を聞いて硬直していた担任かはっとしたように喋り出した。すこし先生の頬が赤く染まっている気がする。
「あー、すまん。正直顔面の圧が強すぎて固まってたわ。改めて、俺が1-Sの担任になる鳴海 亮太だ。
その顔面だと色々ありそうだがあんまり問題は起こすなよー?」
『わー、せんせー色々正直ですね笑
まぁ自分から問題起こしたことはほぼ無いんでそこだけは安心してくれたら嬉しいですね』
かっこいいとかは言われ慣れたけど顔面の圧が強いは笑うわ。てか担任も大概顔面いいだろ、顔良い奴に言われんの面白すぎんな。
当たり障りなく笑顔を浮かべながら思ったことを伝えると担任にシラケた目で見られる。
え、俺早速なんかした?
「それってお前の周りに来るやつは問題起こすってことだろ?こりゃまた一悶着あるかもな」
はぁ、と疲れたようにため息を着く担任。
まぁそういうことだ。担任もその顔面してるなら多分俺と一緒で被害者側の気持ちがわかるだろう。
顔も知らない奴が、勝手に俺の事を好きになって俺の知らないところで俺を引き合いに出して問題起こすんだ。本当に意味がわからない。俺は被害者なので無視を突き通すがな。
てかそれは置いといて、
『またって?何かあったんです?』
担任のさっきの言葉で思わせぶりだった部分についてを聞くと、担任と空気になりかけていた副会長さんが2人揃ってゲンナリとした。
多分話してくれる雰囲気なので何も言わずに続きを待つ。
「...私から話しますね。実は1週間前にもう1人転校生が来ているんです。その転校生が...まぁ、よく言っても騒がしくて...。学校中の美形という美形に付きまとっているんですよ。」
副会長さんが教えてくれるが、話していくうちにその転校生を思い出しているのか、どんどんと雰囲気が澱んでいくし、かけているメガネのレンズが曇っていっているようか気がする。。
「んで、その転校生が俺のクラスってことだな。はぁ、最近は授業にすらまともに出てない...授業が静かに出来んのは正直ありがたいが、ほんとどこで何してんだか、」
と担任が続ける。
『そういう事ですか、至極めんどくさそうなんで極力そいつには近寄らないようにしますわ。教えてくれてありがとうございますね』
こんな少ししか話聞いてないのに面倒くさそうに感じるの逆にすごいな。
「おー、この学園の平和のために是非ともそうしてくれ。
で、すまんが時間が無いから話はこれで一旦区切って教室行くぞー。北澤もありがとな」
はーいとお行儀よく返事をして歩き出した担任の斜め後ろを歩く。少し名残惜しそうにしていた副会長さんも俺たちが歩き出すと、ではまた会いましょうね。と言って廊下を俺たちとは反対向きに歩いていった。
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