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「なぁ知ってるか? あの噂」
「噂?」
安藤康太は焼きそばパンを口に放り込みながら矢嶋雅人にそう言った。
時刻は十三時。四時間目の授業が終わり、各自昼食を食べる頃。先程まで授業に集中して静かだった教室内が一瞬で騒がしくなる。
雅人はクラスメイト達の声を耳障りだと思いつつ、一番後ろの窓際の席に座っている犬飼噤を無理やり退かし、我が物顔で机と椅子を占領した。
そして同じく予め買っておいたパンとコーヒー牛乳を口に運びながら、先程康太が話していた噂について再び尋ねる。
「で、その噂って一体なんなんだ?」
「教えて欲しいか?」
「……」
もったいぶった話し方をする康太に、ピクリと眉が反応する雅人。飲もうとしたコーヒー牛乳を持つ手が止まり、鋭い目が康太を睨みつけた。
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