山本五郎左衛門(1)

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 悔しさのあまり、康太はじろりと雅人を見据えた。コーヒー牛乳を片手に、窓の外を眺めている。それはまるで他人事のようだった。 「……雅人っていつもそうだよな」 「あ? どういう意味だよそれ」 「別に。てか──────っ!?」  椅子が大きな音を立てながら床に叩きつけられる。その音に驚いた数人の女子生徒は小さな悲鳴を上げた。一瞬で教室中が騒がしくなり、慌てて雅人達から距離をとるクラスメイト。  だが雅人はそんな事には目もくれず、眉をピクリとさせながら、歯切れの悪い康太の胸ぐらを左手で掴んだ。
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