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こうなればもう話は早い。景は宥めるように噤の肩に腕を回し、腹を立ててる理由を聞いた。“何かあったのか?”と。その言葉に噤はじろりと景を見据え、こう答えた。
「うん、あったよ。景ちゃんは自覚ないの?」
「オレ!?」
まさか自分のせいで噤が苛立ってたとは全く想像してなかった景は、目を見開き声を上げた。噤の肩に回していた腕を今度は自分の頭に持っていき、必死に頭をフル回転させる。
「今日は寝坊しなかったし……忘れ物もしなかった……弁当も美味かった……」
しかし何度自分の行動を振り返っても景は噤が何故自分に腹を立てているのか分からなかった。
やがて唸り声をあげ、腕を組みながら言う。
「わかんねぇ」
と。
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