山本五郎左衛門(3)

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 初めて景を見た時の雅人の印象は、“髪色と目の色が気に食わないヤツ”だった。誰もが二度見し、綺麗だと褒める髪と目の色を持った景を調子に乗っていると思った雅人は、昼休みに景を呼び出しボコろうとした。  ところが雅人の拳は景には痛くも痒くもない様子で、更には完膚なきまでに負けた。あれ以来雅人は景のことを憎んでいる。  また、景の双子の弟、噤という存在も邪魔でしかなかった。景のように力が強いわけでも、正義感が強いわけでもないが、何かあれば金魚のフンのように景の後ろにくっつく姿に雅人は吐き気を催していた。 「ブラコン野郎共が」  舌打ちする雅人。景と噤に何かしてやりたいが、何も思い浮かばない。真っ向勝負では景には敵わないし、噤を囮にした途端半殺しにされる気がする。もういっそ不良グループの先輩達に頼み込んで景をリンチしてもらおうかと思考を巡らせる。
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