山本五郎左衛門(4)

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「違う! 犬飼は強いからもし本当にバケモノが出たらぶっ飛ばしてくれるかもしれないって思ったんだ!」  ドアの前に立ち塞がり、必死で誤解をとこうとする康太。その目は真っ直ぐ景を見つめ、嘘偽りがないように見えた。康太が続ける。 「それに俺は、翔馬は深夜の学校に閉じ込められてると思ってるんだ。翔馬が行方不明になった一週間前、アイツは自分の財布を取り(・・・・・)に深夜の学校に行ってたんだ」 「……そこから行方不明になったって?」 「そうだ。俺は今でも翔馬がバケモノから必死で逃げ続けて、俺達の助けを待ってるって考えてる」  あまりにも非現実的な話に景と噤は目を合わせ、アイコンタクトをした。“関わらない方がいい” それが二人の答えだった。  やんわりとお断りの言葉を伝えようとする景。だがその前に康太が景に向かって頭を下げた。
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