序章

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 次に翔馬が狙いを定めたのは自分の机だった。ギィィと椅子を引く音が不気味に木霊する。翔馬は先程と同様にスマホのライトで照らしながら机の中に手を突っ込んだ。 「──────あった!」  指先に感じる確かな肌触りに翔馬は曇っていた表情が晴れ、勢いよく机の中から探していたものを引っ張り出した。  翔馬が探していたもの──────それは財布だった。  もう随分と使い古され、色褪せたその財布は、五年前に亡くなった翔馬の祖父から貰った大切にしている物だった。  無事財布が見つかり安心する翔馬。一応財布の中身も確認する。……流石にお金までは盗らなかったようだ。
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