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「……だから何で噤もついて来るんだよ!」
「そんなの景ちゃんが心配だからに決まってるじゃん!何か文句でもあるの!?」
「あるに決まってるだろ!」
だが次の瞬間、遠くの方で誰かと誰かが言い合っている声が康太と雅人の耳に聞こえてきた。こんな夜中に誰だ? と驚き互いの目を見つめ、思わずどこが隠れる場所はないかと慌て始める二人。
しかしその声は段々と大きくなっていき、二人にとって聞き覚えのある声に変わった。
暗闇の中、二人揃って目を凝らす。
「……なあ、一人髪の毛赤くねぇか?」
「俺も思った」
刹那、二人のテンションがみるみる上がっていく。間違いない、あの赤い髪の毛は景だ。ということは、景と言い争っているのは噤か?
そんなことを予想している二人の前に不機嫌な顔をした景と噤が待ち合わせしていた時間よりも三十分遅れて到着した。……噤が来る予定はなかったのだが。
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