山本五郎左衛門(5)

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「なんか言うことあんじゃねーの?」  雅人が景に声をかける。 「遅れてごめん。でも遅れたのには訳があるんだ!噤が自分も行くって言うこと聞かないからさ」  キッ! と、景が噤を睨みつける。だが噤はそんな景のことなど知らぬふりをし、康太に優しく言った。 「ボクも田辺くんを探すのを手伝いたいんだ。景ちゃんみたいに強くはないけど、人数が多い方が早く見つかると思うし。足手まといにならないようにするからさ。いいでしょ?」  縋るように康太に迫り、懇願する噤。そんな噤に康太は困り果てた。実際、翔馬を探すのを手伝おうとする噤の気持ちは有難い。だがここから先はバケモノが出ると噂されている深夜の学校だ。もし、噤に何かあったら……。  チラリと景の方へ視線を移す康太。景の目は睨みつけるように康太を見ており、腕を組むようにして大きくバツ印を送っていた。おそらく、弟をこの件に巻き込むなということだろう。
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