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──────ギクッ!
景の心臓が大きく跳ね上がる。噤もそれを察したのか、睨むように景を見た。
やがてずっと静観していた康太が口を開く。
「犬飼、もう諦めろ。正直俺も雅人と同意見だ」
「はぁ!?お前──────」
「ここでお前の弟を一人置いていくより、お前と一緒に学校に行った方が安全だと俺は思う。それにお前も弟に何かあれば守れるしな」
康太の言葉は景を納得させるには十分すぎるくらいだった。確かにこんな真夜中の学校の前で噤を一人にするのは危険すぎる。かと言って、一人で家に帰らせるのも心配だ。
なら自分が守ればいい。康太が話していた噂の人を喰うバケモノのことだけが心配だが、もし本当に現れたら叩きのめせばいいだけの話。
「わかった、噤も一緒に来ていい。でも絶対にオレから離れんなよ」
景は小さくため息をついた。
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