山本五郎左衛門(6)

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 校門を乗り越えた景達四人は、予め雅人が鍵を開けておいた窓から校内へ侵入すると、スマホのライトで真っ暗な廊下を照らした。しかし残念ながら景と噤はスマホを持っておらず、景は家から持ってきた懐中電灯をポケットから取り出し、スイッチを押した。ぼんやりとした温かみのある明かりがスマホのライトの中に混ざる。 「これはオレが持ってるより、噤が持ってた方がいいな。いざとなった時、手が塞がれてちゃ戦えねーし」  噂のバケモノに備え、懐中電灯を噤に任せる景。それが噤にはなんだか重要な役割を貰えたように思えて、少し嬉しかった。景が暗闇の中転ばないよう気を引き締める。  
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