山本五郎左衛門(6)

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 まずは一階をしらみ潰しに探す景達をスマホでバレないように口元を隠し、嘲笑する。まるで働きアリのように真剣になって翔馬を探す姿を最後尾で見るのはとても気分が良かった。  そもそも雅人は初めから、人を喰うバケモノがこの学校にいること自体信じていなかった。小学校の七不思議じゃあるまいし、高校生にもなって誰が信じるんだと。    だからこそ康太が“翔馬がバケモノから必死で逃げ続けて、俺達の助けを待ってる”と言った時は、腹を抱えて笑い転げそうになった。  じゃあ何故、今回雅人がこの場にいるのか。それは──────景への復讐である。日頃から自分の邪魔ばかりする景の弱みをここで握ろうと思ったのだ。   (弟が来たのは予想外だったけど、むしろ弟がいた方が犬飼のダセェ(つら)撮れそうだな)
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