序章

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 が、翔馬は心は密かに怒りをふつふつと湧き上がらせていた。 「クソっ、雅人(まさと)の奴覚えてろよ」  雅人というのは、今回、悪ふざけで翔馬の財布を隠した犯人のことだ。翔馬と雅人は小学生からの腐れ縁で、雅人は度々翔馬に悪ふざけという名の笑えない冗談を仕掛けてきた。  だがそれもこれで終わり。今日という今日は堪忍袋の緒が切れた。スマホのメッセージアプリを開き、雅人をブロックしようとする翔馬。 「いや、待てよ。今度アイツのバイク盗めばよくね?」  ただブロックするだけでは腹の虫がおさまらない。そう思った翔馬は財布を隠された腹いせに、雅人のバイクを盗むことにした。真っ暗な教室の中で不敵な笑みを浮かべる。結局翔馬も同じ穴の狢というわけだ。
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