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目覚めた時、私が最初に感じたのは、辺り一面の「黒」だった。
それはまさに、闇に包まれたというか、暗黒の世界というか。とにかく、私の前後左右も、そして上も下も。どこまで続いているのかわからぬほどの「黒い色」が、私の周囲を覆っていた。
そこで私はまず、自分がどこにいるかを確かめるため、両手のひらで足元に触れてみた。手のひらの感触は、畳や板張りなどの「床」のようなものではなく、コンクリートや地面にも思えなかった。強いて言うならそれは、何かふわっとしたというか、とても足元をしっかりと踏みしめることが出来るような、「確かなもの」には感じられなかった。
いったい私は、どこにいるんだろう……? そんな疑問を抱えながら、次に私は。周囲に何があるのか全く見えないものの、もしかしたら声が届く範囲に自分以外の「誰か」がいるかもしれないと考え、何か呼びかけてみようと試みた。まずは「おーい」とか「誰かいないか」とか、そんなことを言ってみようと思ったのだが。いざやってみようとしたところで、「あっ」と気が付いた。
声が出ない。喉が詰まったとかいうのではなく、まるで自分に声を出すという機能が失われてしまったかのように、声を出すことが出来ない。言葉だけではなく、「あーー」「うーー」などの唸り声さえ出て来ない有様だった。
これはいったい、どういうことなんだ。私はどうしてしまったんだ……?
何か打開策を見つけようとすればするほど、逆に自分が追い込まれている気がして、私は背筋が寒くなった。では、次は何をすればいいのか。この真っ暗闇の中で、出来ることなど他にあるのか……?
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