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桜並木の下を歩く六花のあの頃より遥かに大人びた背中に、太一は声をかけた。
「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど______」
自分のカッコ悪くて恥ずかしい過去を回想し、自分が小説を書けなくなった理由も含めて話した太一の呼びかけに、六花は振り向いて優しく微笑みかける。
「んー?なーに?」
どうして結婚式の招待状を送ってきたのか______。それを彼女に聞いたところで、いったい何になるというのか______。太一は迷った挙句、その他にも聞きたいことが溢れるように出てきて、言葉にならなかった。そんな彼に歩み寄り、顔を覗くようにしながら、「……どうしたの?」と、六花は心配そうな表情を向けていた。
「ごめん……あれ以来、六花とは話してなかったからさ……たくさん聞きたいことがあって……」
「そっか……」と、六花はまた微笑んで、「時間まだあるし、全部聞いていいよ?」と優しく言った。そんな彼女を見て、太一は乾いた笑いを含んだ。
「相変わらず優しいよな、六花は……」
「……別に誰にでも優しいわけじゃないよ?」
太一だから______。最後に付け加えられた六花の言葉が、太一に勇気を与えた。
太一は勇気を振り絞って聞く。
「なんで俺に招待状送ったんだ?」
それは素朴の疑問であった。それを聞いた六花は、心配そうな顔から少し安堵した表情へと変化させて、「なんだ、そんなことか」と言った。
「そんなの決まってるじゃん______」六花は笑って言う。
「太一に見てもらいたかったからさ、私の白いドレス姿……」
太一は思わず照れてしまう。まさかそんな答えが返ってくるなんて思っていなかった。
その後、太一は「白いドレス……絶対似合うよ」と言った。
「似合うかなぁ?」六花は恥ずかしそうに笑って言う。
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