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「俺も、結婚に夢を持たない人間のうちの一人だ。愛なんて…価値のないものは必要ない。信頼できるのは金と自分だけ─…俺にとって結婚は、ただのステータス」
そこらにいる二軍男子がこれを口にすれば、物凄く非難されそうだが…怜弥さんなら何を言っても許される気がする。
ただその内容は…とても悲しいものだと思った。
「俺がこれまで見合い相手に求めてきたのは、俺に好意を抱かないということと、それなりに資産を持っているという点だ。」
「……そうなんですね」
「その点、君は…好条件すぎるどころか、俺が求める以上のものを持っている。君を婚約者と紹介しただけで、難航していた守谷グループとの契約があっさり取れたのがいい証拠だ」
「…な、なるほど」
「それに何より、君には長い年月をかけて海江田を慕ってきたという実績がある。誰しもが簡単に出来ることではない。君のその執念は、十分な信頼にあたいする」
たまに出てくる海江田氏の名前を聞く度、罪悪感で胸が苦しくなるが…いま現在、推しにとんでもなく褒め称えられているような気がするので、喜びの感情の方が強く前に出る。
「とはいえ、君に何もメリットがないというのはフェアじゃない。俺は今でも君が慕っている海江田 凌輔とは親交があるから…たまに家に呼んで逢瀬の仲介をしてやる」
「……はいっ?!」
「長年アイツを見てきたなら知っているとは思うが。昨年の秋…海江田は結婚した。まぁアレも政略結婚で情のない形だけの婚姻らしいから、不貞を働くことはたまにあるみたいだ。」
ちょっと待って…これは良くない方向に話しが進んでいるような気がする!!
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