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「ご結婚のお祝いとして少しだけ、貴女に助言しておきます」
「……助言?それは、どういうっ」
「命が惜しいなら、誰の言葉も信じてはダメです。もちろん…怜弥様も例外ではありません。」
「…どういう事ですか?」
「今の四條の人間は、誰がグループの跡を継ぐのか…そのことばかりしか考えていません。身内を陥れて上に立とうとする人間も少なくは無い」
「そんなっ、家族同士で物騒なことは、、」
「…先日、長男の修弥様が事故に遭われました。単なる偶然起きた事故なのか又は殺人未遂なのか─…私は後者だと考えています」
っえ…急にサスペンスドラマみたいな展開になっているけれど。お義兄さんが事故に遭われたなんて話は怜弥さんから聞かされていない。
………まさか、知らない…とか?
「どうしてその話を私に……?」
「身の振り方を、お考えになられた方がよろしいかと。怜弥様は多忙な方なので家を空けられることも多いでしょう。その際に隙を見て訪ねてくる親族には要注意です」
「……まさかっ、そんなこと」
「私は警告しておきましたので、後はご自分で判断なさってください。では…失礼いたします」
なんとも意味深なことばかり述べて、そのまま立ち去った河野さん。まるで私が誰かに命を狙われていると言われたみたいで、正直気味が悪かったが─…彼は私の味方なのだろうか?
そもそも、身内同士で殺人未遂のような物騒な事件が本当に起きたというのか、それも信じ難い。
「……怜弥さんが帰ったら聞いてみよう」
籍を入れて間もなく、問題が発生するとは思わなかったが─…
こんなものは、序章のうちにも入らなかった。
後に私は、とんでもない人の元へ嫁いだのだと…身を持って思い知ることになる。
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