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しかし…ありえない話だ、と言いきれない部分も確かにある。
っというのも…彼のご実家に結婚の挨拶に伺った際のご親族の対応はとても冷たいものだったからだ。
結婚する、っと怜弥さんが発言したと共に…その場の空気が明らかに変わったのが他人の私にもよく分かった。
『へぇ…このタイミングで嫁をとるということは、怜も継承に興味があるってこと?』
『兄さんとの一騎打ちだと思ってたけど。まさか怜が参戦してくるとはね。』
彼のお兄さん二人は、お祝いの一言も無しに…口を開けば継承の話ばかりで。その口調も兄弟とは思えないほどに鋭い物言いだったので思わず目線を落とした。
それに加え、キッチンで鉢合わせた彼らの奥様方にも─…
『三男坊の怜弥さんに、グループのトップが務まるとは思えません。早いうちに諦めるよう諭すのも、妻の役目ではないでしょうか?』
『貴女なら、怜弥さんよりもっと他にいい人がいるのでは?四條のトップの妻の座を求めるというのならそれなりの覚悟が必要だけれど…大丈夫かしら?』
っという具合に、歓迎されることなどなく。
むしろ、”継承争いに参加するならば、君たちは今日から敵だ”とハッキリ言われたような気分だった。
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