ナイモノネダーリン/冷酷な旦那様と愛されたい私

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。・:*:・゚★,。 四月の半ば─… 桜の花びらが舞い散る中、私は市役所へと足を運んだ。今日は土曜日で通常の業務がお休みである役所へと訪れた理由は… 「はいはい…書類に不備、無しね。この度はおめでとうございます─…後日ご自宅の方に受理された通知がいくと思うから…大事に保管しておくといいよ」 【婚姻届】を提出するためだった。 休日の役所で婚姻届を受け取ってくれたのは、専門外の宿直職員ということで。市役所の職員…というより、警備員のオジさん…みたいな。そんな感じの男性が対応してくれたので、、 (この人に任せて…本当に大丈夫?!) っと不安に思ったのが態度に出ていたのか。 たった今、私の世帯主になることがほぼ確定した旦那様が隣で小さくため息をついたのが分かった。 「心配しなくても、僕が婚姻届を受け取ったカップルは…離婚届を取りに来たことが一度もないんだよ。これ、ちょっとした都市伝説になってるんだけどもしかして知ってて今日ここに来たの?」 なんて…笑顔で語りかけてくれる警備員さん。 ──…申し訳ありません。 私たち、離婚届を取りに来ることが既に確定している契約結婚の仮初カップルなんです。
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