ナイモノネダーリン/冷酷な旦那様と愛されたい私

30/72

559人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「うわぁ…これ、全部沙羅ちゃんの手作り?」 ダイニングテーブルに並べられた夕飯をみて、声をあげた海江田さん。 「凄いな…怜は毎日こんな手の込んだ料理が食べられて、本当幸せ者だな」 向かい合うようにして座り、怜弥さんにいただいたワインをグラスに注ぐ。ぎこちない会釈をお互いに交わし、そっとグラスに口をつける。 どんなに高級で希少なワインでも…全く美味しいと感じないのは、私の心の問題だろう。 「このローストビーフ、凄くワインに合うね?もしかしてソースも沙羅ちゃん特製だったりする?」 「はい…ネットで検索したレシピなので自作というわけではありませんが」 「いやいや、ソースを作ろうと思う時点で愛を感じるよ。凄いなぁ…本当に。」 私の手料理を褒めちぎる海江田さん。悪い気はしないが、いい気分でもない。 本来この料理は怜弥さんの為に作ったものなので、申し訳ないが海江田さんに褒められても全く心に響かない。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

559人が本棚に入れています
本棚に追加