ナイモノネダーリン／冷酷な旦那様と愛されたい私

コンコン…っと、控えめに小さな音でドアをノックされ怜弥さんが戻ってきたことを悟る。

「─…沙羅」

「はいっ、いま開けますね」

慌てて駆け寄ると、向こう側からゆっくりと扉が開かれ…愛しい旦那様の姿が視界に入った。

その瞬間─…
わけもなく無条件に、、泣きたくなった。

「泣いてたのか…？」

想像していたよりずっと優しい声で私に話しかけてくれる怜弥さん。その声を聞いているだけで泣けてくるから……困ったものだ。

──…本当は、物凄く怖かった。

よく知りもしない相手と遅い時間に二人きりにされて…凄く不安で、、怖かった。

「失敗、しちゃいました。怜弥さんのご友人なのに…上手く持て成すことが出来ませんでした」

申し訳ありません、っと頭をさげると…小さなため息が聞こえてきて。心がちぎれそうになった。

そんな私に彼は─…

「それでいい…突然二人きりにされて、心細かっただろ？」

「……え…」

「間に入ってやるべきだったと思い直して…帰ってきたんだが。沙羅の泣き顔を見て、俺の行動は間違いだったんだと気付いた」

そんな優しい言葉を掛けてくれたあと、、

「─…間に合って、良かった。」

っと言って…私の頭にポンッと手を乗せた。

──怜弥さん、それは反則です。