ナイモノネダーリン/冷酷な旦那様と愛されたい私

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「これからの事で、少し話がある」 いつもの調子のポーカーフェイスに戻った怜弥さんと共にリビングへと戻れば、片付いていないダイニングが視界に入る。 「……あっ、すみません。すぐに片付けます」 散らかったリビングは、つい先程までここに海江田氏がいたことを物語っている。 その痕跡を早く消したくて、片付け始めようとした私の手を…怜弥さんが控えめに掴んだ。 「これ全部、沙羅が作ったのか…?」 強めの口調でそう尋ねられ、なんと答えようか迷った。少し張り切りすぎたという自覚はある。呆れられてしまったのだろうか。 「……たとえ仮初でも、今日は怜弥さんと家族になった記念日なので。」 「……記念日?」 「えっと…はい。私たちは式を挙げないので、結婚記念日は婚姻届を提出した今日になると思ったので」 「あぁ…なるほど」 「それでっ…一緒にお祝い出来たらいいな、って思ってたら怜弥さんがワインを買って帰るって言うから、、張り切って作りすぎてしまって……」 こんな風に、彼に意見をハッキリ言えるのは…私が少し酔っているからだろう。シラフだったら自分の意見なんて上手く伝えられない。
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