550人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
──…それなら、、
「一つ、いいですか…?」
逆に“妻“という立場を利用してやろう。
「私も中途半端な覚悟で今ここにいる訳じゃありません。この家で怜弥さんの妻として暮らす間は他の人と身体を重ねたり…そういうことはシたくないです」
「……しかし、それだと君にとってメリットが少なすぎる。久しぶりに顔を合わせて緊張したかもしれないが、海江田を慕っているのは事実なんだろ?これから会う回数を重ねれば、」
「し、四條の家の人間として…弱みになるような行動は避けたいな、、って」
そもそも私にとってこの結婚にメリットなんてものは必要無いのだ。なぜならもう既に…長年片思いをしていた怜弥さんの妻になることが出来たのだから─…
それ以上、何を望む必要がある?
「怜弥さんのご実家に伺った際、ご兄弟の奥様たちに少し意地悪なことを言われまして」
「……気にするな、君には関係の無い話だと思って聞き流してもらって構わない。」
「いえ、私にもプライドはあります。それに…不貞を働くような人間を怜弥さんが妻に選んだと思われるのは嫌なので。」
「とんだお人好しだな?自分から面倒事に首を突っ込むようなものだ…悪いことは言わない、四條の人間に必要以上に関わるな。そこまで君に求めた覚えは無い」
「本心を隠すな、っと仰いましたよね?怜弥さんにご迷惑をかけるような事はしたくないんです。だから…今後、今日のように海江田さんをここに呼ぶのは控えてください」
「沙羅っ、」
「コンタクトをとって頂いただけで、十分です!後は自分でなんとかします!それが恋愛というものなので、怜弥さんはもう何もしないで!」
何度拒否してもしつこく海江田さんとの逢瀬の手引きをしようとする怜弥さんに苛立ち、ついタメ口で怒鳴り声をあげてしまった。
……何をしてるんだ、私は。
最初のコメントを投稿しよう!