544人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
身を守っていた布が全て彼の手によって取り払われた頃には─…もう、まともに物事を考えられるような状況ではなくて。
「……沙羅?」
何度か、怜弥さんが私の名を呼んだ気がするのだが…それに応える余裕すらも無かった。
─…熱いっ、
発熱したのでは?っと思うほどに、身体中が熱を帯びたみたいに熱くて、どうしようも無かった。
「れーや、さんっ…」
不慣れなことを悟られないように…遊び慣れた女の子を演じようって決めていたはずなのに。ここから先、どうすればいいのか分からなくて…
震える手を彼に伸ばせば、それに応えるように私の手をギュッと強く握り…身体に触れていた手を止めた怜弥さん。
(……少しだけ、怖いです)
っと、胸の内で思っていることに…彼は気付いているのかもしれない。
夢にまで見た怜弥さんとの甘い夜。それを実際に体験するとなると…話は別で。
私たちの距離がゼロになり、結ばれてしまったその瞬間に─…全て暴かれてしまいそうで、、怖かった。
最初のコメントを投稿しよう!