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そのまま先に進むとばかりに思っていたのだが、怜弥さんはそれ以上私に触れてくることは無かった。
「すみませんっ、もう大丈夫なので続きを、」
嫌われることを恐れ、焦って声をかけた私に彼が告げたのは意外な言葉だった。
「お前…酔ってるだろ?」
っと、呆れたようにそう言った彼はベッドサイドに置いてあったブランケットを手に取りそれを私の身体の上にふわりと乗せる。
「酔いが覚めた後、文句を言われても困るからな。酒の入っていない状態の沙羅にもう一度改めて尋ねることにする」
それは…これ以上先へは進まないということを意味していて。やはり私では役不足だったのかと落胆したのだが─…
「勘違いするな、仕切り直しだ。次は嫌でも最後まで付き合ってもらう」
そう言って、涙に濡れた私の瞼に優しくキスを落とした彼は…それ以上何も言うことはなく。静かに寝室を出ていった。
言葉や態度が冷たくても─……
私の好きな人はいつだって、、優しい。
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