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怜弥さんと共にエレベーターに乗り地下の駐車場へと向かう。
密室の中で二人きり…夫と妻という関係になっても、このシチュエーションにはまだまだ全然慣れない。
休日の二人きりのお出かけ。きっとこれは、怜弥さんの車に乗せてもらえるデビューの日だ!っと舞い上がっていたのだけれど、、
「あ……河野さん」
既に黒色のセダンの横で待機している専属運転手の河野さんを発見し、何も言われずとも察する。
案の定…彼の待つセダンの後部座席に乗り込んだ怜弥さん。もちろん私も同じように彼に続いた。
部外者が約一名追加されたところで、私のハッピーな気持ちは現状変わることは無かった。
離婚前提の契約婚の為、式を挙げるのは辞めておこうと二人で事前に決めていたので…まさか怜弥さんの隣でウェディングドレスを着れるなんて思わなかったから、、つい浮かれてしまう。
「沙羅」
「っ、はい!」
突然名を呼ばれ、思わず声が裏返ってしまった。
「兄が経営に携わっている式場に向かう」
「あ…確か、二番目のお義兄さんの、、」
「…兄嫁がいるかもしれない」
「……はい?」
「衣装事業には、兄嫁も関与してる。俺達が行くことは伝わっているだろうし…口を挟んでくる可能性が高い」
四條グループが手がける事業のひとつにブライダル業があることは知っていた。たしか次男の隆也さんが任されていたはず─…
その中の衣装事業をお義兄さんの奥様である美蘭さんが手伝っている…ということだろうか?
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