ナイモノネダーリン/冷酷な旦那様と愛されたい私

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「そばを離れるつもりは無いが…試着の際などはどうしても目を離すことになる。兄嫁に何を言われても気にするな、沙羅には関係の無い話だ」 意地の悪いお義姉さんに私が嫌味を言われないか心配してくれているのだろうか? だとしても”関係ない”と言われるのは寂しい。 「……了解です」 口ではそう返事をしたが、兄嫁に嫌味を言われたところで屈しない自信しかなかった。 元より”よそはよそ、うちはうち”という精神で生きてきたので、小姑の嫌味など聞き流せるスキルは既に身についている。 しかし、そんな姿を堂々とさらけ出せば夫である怜弥さんの顔を潰しかねない。それだけはどうしても避けたかった。 「到着しました」 運転手の河野さんの声が響き…怜弥さんに続いて自分も車を降りる。 都会の中に緑を感じることが出来るガーデンウェディングが人気の式場。ここで式を挙げる訳ではないけれど、怜弥さんと一緒に訪れることが出来て素直に嬉しい。 「お待ちしておりました、」 奥から出てきた背の高い女性…お義兄さんの奥様である美蘭さんの登場によりその場の空気がピリリと張り詰めたものに変わる。
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