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「─…お話は、以上ですか?」
ずっと黙っていた怜弥さんが静かに口を開いた。
「…いま、なんて、、」
「新作ドレスのお披露目は終わりましたか?っと尋ねました」
手に持っていたパンフレットをテーブルの上に叩きつけるようにして置いた怜弥さん。一体どうしたのかとハラハラする私をよそに、彼は─…
「俺が求めるのは最新のドレスでも、流行りものでも無い。沙羅に似合うものを求めて来たんだ」
「だ…だからっ、私が用意して、」
「沙羅を俺の妻として紹介する為に開くパーティなんです。新作のドレスを披露するための場ではありません。」
「それはっ、」
「事業が上手くいっていないことは存じ上げておりますが─…妻を利用して、似合わないものを押し付けてくるのはやめて頂きたい。」
兄嫁、美蘭さんを完全論破してみせた怜弥さん。
恥をかかされた、と言わんばかりに顔を赤くして表情を崩す美蘭さんに彼は軽く頭を下げると、
「では、これから改めて妻のドレスを選ぼうと思うので…席を外してもらっていいですか?」
なんて、トドメの一言を告げる。怒りを隠しきれていない美蘭さんは私たちを睨みつけてからその場を去っていってしまった。
予想外すぎる展開に放心している私の頭の上に、怜弥さんの手がポン…っと乗っかった。
「沙羅に似合うドレスは、俺が選ぶ」
ってこれ…もう普通にラブが強めなダーリンじゃないですかね?
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