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仕切り直して二人でドレスを見て回るのかと思いきや、目星をつけていたのか怜弥さんは一着のドレスの前で足を止めた。
「沙羅にはこれが似合うと思う」
彼が目を向けているドレスは、先程まで試着していたAラインのものやプリンセスラインのフワッとしたものではなく、、
スレンダーやマーメイド系の身体のラインがハッキリ分かりそうなスラッとしたタイプ。
「っえ…私、こういうのは着たことが、、」
「沙羅の体型によく似合うと思う。昨日見たばかりの俺が言ってるんだ。間違いない」
昨日見たばかり…っとか、他にも人が居るのに平然と何食わぬ顔で言うのはやめていただきたい。恥ずかしくてドレス選びどころではなくなる。
怜弥さんに押され、それを試着することになったのだが、、ドレスに着替えている間にカーテンの向こう側に居る怜弥さんのスマホが鳴った音が聞こえてきて─…
「……沙羅、申し訳ないが急用が入った」
「…え……?」
「試着が済んだら河野に自宅まで送ってもらえ」
「っあ、あの…怜弥さんっ、ドレスは」
「……当日、楽しみにしてる」
まさか、試着している最中に放置プレイを仕掛けてくるとは。推しはなかなか手強い模様です。
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