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膝までは身体にぴったりとフィットさせ、裾が人魚の尾ひれのように広がっているとてもメリハリのあるデザイン。
着こなせる自信など無かったが、試着が終わり鏡に映る自分の姿を見て……思わず目を奪われた。
(私って、こういうの着れる人間だったのか)
自分でも知らなかったことを怜弥さんが気付いてくれたことに感動していると…担当してくれたスタッフの女性が優しく声をかけてくれた。
「実は数日前…代表が不在の日に、ご主人が一人でこちらに来られて、、先に下見をなさってたんです」
「……え?!ご主人って…わ、私の旦那様のことですか?!」
「はい。おひとりで来られて、その際にこちらのドレスを気に入られたご様子で。取り置きしておくようにと…事前に言われておりました。」
怜弥さんは初めから私にこのドレスを着せたかったとでも言うのか?いや、もしそうなら本当に…舞い上がってしまいそうなほど嬉しい。
「代表の顔を潰さないように、一通りの新作を披露させた後で、、本当に奥様に着て欲しいものを用意するなんて…粋な旦那様ですね」
本当に、全く。素敵すぎて困り果てます。
早く怜弥さんに見て欲しい、っと胸を躍らせながら…その一着に決めた私のことを、、裏で美蘭さんが見ていたなんて全く気付くことなく─…河野さんと共に、式場を後にした。
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