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「─…やってみなさいよっ!その代わり、うちのドレスは使わせないしスタッフもみんな帰らせるわ。怜さんに泣きついたところで失望されるに決まってるっ…結婚披露パーティは離婚会見に変わるでしょうね」
捨て台詞のように吐き捨てて、スタッフさんやヘアメイクさんを連れて部屋を出ていく美蘭さん。
その際に一人だけ、、衣装担当のスタッフさんが私の元へ駆け寄ってきてくれて、、
「無力でっ、申し訳ありません」
っと謝罪の言葉を述べたあと、ドレスの後ろのボタンやリボンの結び目を外してくれた。おかげでなんとか自力でドレスを脱ぐことが出来そうだ。
「これ…私が使おうと思っていたひとつ上の階の客室の鍵です。良かったら使ってください」
早口でそう言った彼女は、美蘭さんに気付かれる前に私から離れて私物をまとめ始める。
─…敵ばかりとは限らないみたいだ。
一人きりになったところで、ウェディングドレスを脱ぎ…私服に着替える。
シミ抜きをしてとれるのかどうか分からないが…できるだけ元の状態に戻してから、いつか怜弥さんの前でこのドレスを着てみたいと思った。
「……本当の夫婦になれる日が来たら、その時はちゃんとした結婚式を、、挙げたい」
それまでこのドレスは、私が大切に保管しておこう。
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