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魚住さんが届けてくれた荷物は、ホテルのスタッフを介して私の元へと届けられた。
ギリギリのタイムスケジュールで一人バタバタと時間に追われながら身支度を済ませていく。
支度が終われば声をかけろ、と言われていたが…あの場で彼を呼び立ててしまうと事態はさらに悪化しそうだったので、、
よくSNSなんかで見る…ウェディングドレスを着た新婦さんが新郎の肩をトントン、ってするやつ。通称…ファーストミート!!
当日にドレス姿を披露するファーストミートという儀式をやってみたいので、支度が終わっても声をかけません…っという内容のメッセージを怜弥さんに送った。
そのため、彼も私がどんな装いで現れるのかを知らない。というか普通にドレスを着て登場すると思っていることだろう。
私の父はおおらかで楽観的。特別厳しい教育のようなものを強いてくることは無かったが…その点祖父は厳しい人で。昔からのしきたりを大切にする人だった。
だから、、自分で着物を着ることが出来た。
問題はソレが婚礼衣裳ではなく…振袖であるという点だった。幸い、色は白を基調としたものではあるが、、
本来、振袖は未婚女性の礼装着である。怜弥さんと籍を入れた私がこれを着て出ていくことには様々な問題点があるということは百も承知。
─……それでもっ、
これは契約婚であり、離婚前提─…
未婚女性の礼装でパーティに出ることはある意味、正解のような気がした。
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