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役者が揃ったところで─…司会を任されたと思われるどこかのテレビ局のアナウンサーが進行をスタートさせる。
ザワついていた会場が再び静寂に包まれ、刺すような視線の中で…唯一こちらに優しい目を向けてくれている身内席を見つけた。
四條に嫁ぐと知った時─…
あれほど私にお見合いを勧めていた父はなぜか私を嫁に出すことをとても渋っていた。
今まで見合いをした男性の中の誰よりも経済力があり、家柄も悪くないはずなのに、、
『……なにか、裏があるような気がする』
挨拶に訪れた怜弥さんに対して面と向かってそう言った父。なんだか騙すみたいで心が傷んだが、最終的には怜弥さんの紳士な対応ぶりを見て安心したのか、結婚に承諾してくれたのだった。
一方で祖父は私が四條グループの子息と結ばれることにとても歓喜している様子で。
『息子も孫も男ばかりで、沙羅は東堂家の紅一点。大事に育ててきた孫娘が選んだ方ならきっと間違いない。なにか手助けが必要な際はいつでも頼ってくれ』
なんて…会ってすぐに打ち解けて、その日のうちにビジネスの話をしていた。
私は四條家の方々に気に入られていないが、怜弥さんは我が家ではとても信頼されているお婿さんだった。
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